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2018年8月27日 (月)

ファナ・アマジャ

フラメンコを始めた四半世紀前には、ネットもYouTubeも、ソロ・コンパスすらなくてスペインは本当に遠い異国だった。
なのでフラメンコを見るためにアルハムブラでバイトしてはエル・フラメンコに通いました。映像はイベリアの出していたビデオシリーズのみで1本8000円くらいの高級品。当然買えない。

これはホントは良くない事だが、時効よろしく。当時クラスに伴奏来てくれていたOさんが、ビデオをコピーして生徒に譲ってくださり、スペインのフラメンコ、をむさぼるように見た。その中でグレージュの衣装で風に吹かれて苦虫顔で踊っている豹みたいなヒターナ(ジプシー)がいた。ファナ・アマジャ。

映像の少ない時代だったから、同世代のフラメンコの人はこの風に吹かれたファナはみんな見て憧れた。わたしは…あまりに野生で正直これは遠すぎる、と思った。でも四半世紀経った今も、やっぱりこの映像によく立ち返る。正真正銘のジプシーの踊り。ジプシーの歌。ジプシーのパルマ。切ない最後の歌で必ず泣いてしまう。

その後セビージャでレッスンに通っていた15.6年前、ファナがクラスしているスタジオに輝くような女の子が入って来た。腰まで届く美しい髪。真っ直ぐに伸びた足。ファナは生徒を放り出して「見てー。わたしの娘、モデルみたいに可愛いでしょ」とメロメロ。多分中学生くらいだったナサレ。

前回の滞在ではナサレのレッスンを少し受けた。聡明な現代のヒターナ。身長は伸びなかったようでお母さんと違い背が低くタンクのような強い身体から繰り出される複雑で早いパソ。

ファナが見学にやってきて、あらー、難しいわねーなんて笑いながらナサレの娘、まだ赤ん坊のアマジャちゃんをあやしている。

日本人からは一番遠い存在で、でも憧れずにはいられないジプシーの踊り手ファナ・アマジャがガルロチにやって来ています。全然まだ足りてないけど土曜2回目行きました。言葉にすれば陳腐。ジプシーの親子の踊りを見てください。これが私達がフラメンコと呼んでいるもの。カンテのガジも素晴らしい。全てを捧げて歌っている。そして何度も言う。「これがジプシーの本当にピュアな正真正銘ジプシーの踊り。もうあまり残っていない。」

東京に住んでたら毎日行って破産します。
ファナは今も風に吹かれている。
彼女がステージで手を上げる時、膝まづく時、マシンガンのようにコンパスを刻む時。体の奥底から放たれるエネルギーに釘づけになる。

最近はガスパチョモロンの動画をハレオのタイミングまで覚えるくらい見てました。生で、東京で見れます。唯一無二のフラメンカ。
わたしあまり絶対、と言いませんが、東京にいる方には絶対に生で見てほしいな、と思います。

https://youtu.be/BrAEtI4vpwU

ガスパチョの時のファナのソレア動画。モイのソレア、ルビオの最後のエストリビージョ、カンテもギターもパルマも全てがすごい、すごい。これは数年前ですね。若い頃もすごいが今ここ数年が円熟して絶頂期だと思う


ナサレの衣装が斬新過ぎて目が点でしたが笑


あぁ、同じ時代に生まれて良かった。ありがとう神様!


いつもフラメンコに渾身のガジ。アーティストとしても人としても尊敬します

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